
車検が切れた車を検査場へ持ち込む、抹消した車を登録のために運ぶ。こうした場面で使うのが仮ナンバーです。正式には自動車臨時運行許可といい、道路運送車両法第34条・第35条で決まっています。
このページでは、条文と、横浜市・江東区・大阪市・近畿運輸局の公式案内をもとに、申請の方法と注意点をまとめました。自治体ごとに運用が少しずつ違うので、最後は申請先の案内で確かめてください。
仮ナンバーの公式案内(例)
- 横浜市|自動車臨時運行許可必要書類・期間の基準・手数料
- 江東区|自動車臨時運行許可東京23区の例。自賠責の扱いが詳しい
- 近畿運輸局|臨時運行許可許可の対象・期間・経路の考え方
仮ナンバー(臨時運行許可)とは
臨時運行許可を受けた車は、許可証に書かれた目的と経路に従う限り、登録・ナンバー・車検・車検証の備え付けの規定が適用されません(第34条)。許可するのは地方運輸局長と、市・特別区の長、政令で定める町村の長です。
許可が出るのは、次の目的に限られます(第35条)。
- 試運転
- 新規登録・新規検査のための回送
- 車検証が有効でない車の継続検査その他の検査のための回送
- その他、特に必要がある場合
江東区は「試乗、保有、展示、撮影、日常生活上の利用等」には貸し出さないと明記しています。近畿運輸局も、単に運行するだけの目的では許可しないとしています。
仮ナンバーの必要書類
横浜市の案内(2026年7月31日更新)をもとにした一覧です。自治体によって追加の書類がある場合があります。
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 申請書 | 窓口で記入。運行の目的・経路・期間を書く |
| 自賠責保険証明書の原本 | 許可期間中ずっと有効なもの。電子交付の証明書(PDF・印刷物)は不可 |
| 車を確認できる書類 | 車検証、登録識別情報等通知書、抹消の証明書など(コピー可)。電子車検証は閲覧アプリの画面か「自動車検査証記録事項」も見せる |
| 本人確認書類 | 運転免許証など。法人の申請でも必要(2024年10月から) |
| 手数料 | 1件750円(横浜市・江東区・大阪市・近畿運輸局の例) |
有効期間と運用の違い
法律上の有効期間は5日以内です(第35条第3項。長期間の回送など、やむを得ない場合の例外あり)。ただし実際は、目的に必要な最小限の日数しか許可されません。
| 申請先 | 期間の運用 |
|---|---|
| 江東区 | 必要最小限(最長5日)。車検・登録のための回送は1日。予備日を理由に延ばせない |
| 横浜市 | 目的地が神奈川・東京・千葉・埼玉・静岡なら3日以内、北海道・九州(福岡を除く)・高知は5日以内、それ以外は4日以内 |
| 近畿運輸局 | 必要最少日数(上限5日。同じ市内なら1日など)。経路は必要で合理的な最短経路 |
横浜市は、原則として運行する当日に申請を受け付けています(早朝に使う場合などは前日)。江東区も当日か前日からの受付です。
返納の期限と罰則
有効期間が終わった日から5日以内に、臨時運行許可証と番号標を返します(第35条第6項)。大阪市の案内では、5日目が閉庁日の場合は翌開庁日までとしています。江東区は郵送での返却も受け付けています(例:6月1日から2日まで使用したら6月7日までに返却)。
返納しなかった場合や、番号標の表示・許可証の備え付けを守らなかった場合は、第108条により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。2025年6月1日に「懲役」は「拘禁刑」に改められています(法務省)。古い案内には「懲役」と書かれたままのものがあります。
業者向けの回送運行許可との違い
| 項目 | 臨時運行許可(仮ナンバー) | 回送運行許可(回送ナンバー) |
|---|---|---|
| 根拠 | 第34条・第35条 | 第36条の2 |
| 使える人 | 誰でも(目的が限られる) | 自動車の販売・製作・陸送・特定整備を業とする者 |
| 対象 | 1台・1回の運行 | 1回の許可で複数の車に使える |
| 申請先 | 市区町村・地方運輸局 | 主たる営業所を管轄する運輸支局など |
| 有効期間 | 5日以内 | 5年以内(満了後5日以内に返納) |
入庫や納車で回送が多い販売店・整備工場は、回送運行許可を取っておくと、そのつど自治体の窓口へ行かずに済みます。
仮ナンバーを使う流れ(車検切れの車を検査場へ運ぶ場合)
- 自賠責保険が切れていれば先に加入し、紙の証明書を受け取る
- 検査の予約を取る(運行する日を決める)
- 運行の当日(または前日)に市区町村で臨時運行許可を申請し、番号標と許可証を受け取る
- 番号標を前後に表示し、許可証を車内に備えて、決められた経路で検査場へ行く
- 検査を受け、期間満了から5日以内に番号標と許可証を返す
車検切れの罰則と、受け直したときの有効期間の考え方は車検切れの罰則と対処で、予約の取り方はユーザー車検の予約方法で解説しています。
継続検査や登録の手続きをオンラインにまとめるOSSの仕組みと、導入の流れを解説サイトにまとめています。
申請前のチェック
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 自賠責保険証明書が紙の原本か | 電子交付の証明書(PDF・印刷物)は不可とする自治体がある |
| 自賠責の期間が運行期間を全部カバーしているか | 自賠責の最終日は正午で終わるため、最終日は許可しない例がある |
| 運行の目的・経路・日数が決まっているか | 申請書に書き、その範囲でしか走れない |
| 電子車検証の記録事項を見せられるか | 閲覧アプリの画面か「自動車検査証記録事項」が必要な例がある |
| 返納の日程 | 期間満了から5日以内。郵送で返せる自治体もある |
仮ナンバーのポイント(まとめ)
仮ナンバーは正式には自動車臨時運行許可といい、道路運送車両法第34条・第35条に基づいて市区町村や地方運輸局が許可します。使えるのは試運転、新規登録・新規検査のための回送、車検が切れた車の検査のための回送などに限られ、試乗や日常の利用には使えません。申請には許可期間をカバーする自賠責保険証明書の紙の原本(電子交付は不可の例)、車を確認できる書類、本人確認書類が必要で、手数料は横浜市・江東区・大阪市などで750円です。期間は法律上5日以内ですが、実際は必要最小限です。期間が終わった日から5日以内に返納しないと、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。
仮ナンバーに関するよくある質問
仮ナンバーはどこで申請しますか。
市区町村(特別区を含む)の窓口のほか、地方運輸局でも許可できます。横浜市は区役所の総務課、江東区は区の担当窓口が受付です。お住まいの自治体の案内を確認してください。
仮ナンバーの手数料はいくらですか。
横浜市・江東区・大阪市・近畿運輸局では1件750円です。全国一律かどうかは確認できていないため、申請先の自治体の案内で確かめてください。
自賠責保険の証明書は電子のものでも使えますか。
横浜市と江東区は、2025年1月から始まった電子交付の自賠責証明書を受け付けていません。PDFやそれを印刷したものも不可で、紙の証明書の原本が必要です。
何日間借りられますか。
法律上の上限は5日です。実際は必要最小限の日数しか許可されず、江東区は車検・登録のための回送なら1日、横浜市は関東近県なら3日以内を基準にしています。
返すのが遅れるとどうなりますか。
有効期間が終わった日から5日以内に許可証と番号標を返さないと、道路運送車両法第108条により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。
試乗や引っ越しのついでに使えますか。
使えません。許可は検査・登録のための回送など目的と経路を決めて出されるもので、試乗・展示・日常の利用には貸し出されません。目的外の運行は無車検運行の扱いになります。
登録手続きの書類や期限を、整備・販売の業務の中で管理するには?
名義変更や住所変更、抹消の期限は「15日以内」が多く、入庫や納車の予定と一緒に管理すると漏れが減ります。顧客と車両の情報、車検証の記録、見積・請求を1か所で扱えるのが自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)です。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかに加えて、整備システム リースなしで導入できるか、電子車検証の読み取りに対応しているかを確認してください。
出典
このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 横浜市 自動車臨時運行許可:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/rinziunkou/2019rinziunkou.html
- 江東区 自動車臨時運行許可:https://www.city.koto.lg.jp/060501/kurashi/kotsu/jidosha/110.html
- 大阪市 自動車臨時運行許可:https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000004803.html
- 近畿運輸局 臨時運行許可:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/shaken/rinjiunkou.html
- 関東運輸局 回送運行許可:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/touroku/kaisou_unkou.html
- 法務省 拘禁刑の創設:https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00164.html






